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第1部 一章【財前姉妹】その12 第十六話 麻雀は試練の繰り返し

Author: 彼方
last update Huling Na-update: 2025-07-22 22:00:00

167.

第十六話 麻雀は試練の繰り返し

 雀聖位戦最終試合もいよいよ南2局。佐藤優の親番となる。

現在の点棒状況

財前 30200

佐藤 25800

河野 20800

左田 23200

(この親で暫定1位のマナミをまくる。絶対失敗できない。マナミ…… まさか、私たちがこんな舞台で戦う日が来るとは思ってなかったよね…… あの日、隣の席になった高2の日。私のことを麻雀に誘ってくれてありがとう。おかげで…… こんなに……)

ユウ4巡目

一二六八③④⑤⑦999西西 七ツモ ドラ①

(こんなに! 私の人生は! 麻雀は! 今、燃えている!!)

「リーチ!!」

 ユウのキレイで長い指が横向きに⑦筒を置く。それだけの行為に対局者たちはプレッシャーを感じていたし対局室の温度もカッと上がった錯覚すらあった。

 このリーチは勝負所だ。ツモ三萬からなら打八萬としてテンパイ取らずという手があったが七萬を先に埋めてしまっては⑦筒の横伸びにしか期待が出来ず、親ならここでもうリーチと行く方が良い結果を生み出してくれそうである。

 しかし、ドラなし愚形。反撃を受けた時のリスクはかなり高い。結果がどうなるかが勝負なのではなくて、ここで子方がリーチに降参してオリを選択してくれたらユウの勝ち。反撃してきたらユウの負け。そういう、勝負所なのである。

 しかし

 打七! 打②! と危険牌を2連打して押し返してきた奴がいた。河野勇一郎である。

(親リーだからってオリてられるか! もう南2局なんだ。雀聖位にあと3局で届

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